ズズズズズ…………
それが合図かのように、土が盛り上がり、中から何かが飛び出した。
『グルルルル』
これは彼女が得意とする、ネクロマンサーの能力。
過去に消えた亡霊を、蘇らせたのだ。
「先程のクレイマンとタイプが違うよ! コイツはヨーロッパで騒がれた、連続切り裂き魔の霊さ! 力を失った今のアンタに、コイツの素早い攻撃は避けられないよ!!」
力を失った?
里子から聞いたのか、どうやら亀咲も礼子が霊の病にかかっているのは、知っているようだ。
「さあ、やっておしま……」
すると、合図する間もなく、礼子はその蘇った霊に詰め寄った。
それは一瞬の事。
亀咲でさえ、その礼子のスピードに対し、残像しか見えなかったくらいである。
ヒュ!!
切り裂き魔の霊は感情がないので驚きはしないが、近くに詰められたら事により問答無用に手を降りかぶった。