すごく感謝してる。



この職場と、そして社長に。



「今月で終わり。ひとり返事を保留にしてる秘書候補がいるからソイツに決めるよ」

「大丈夫ですか?」

「ダメに決まってんじゃん。鈴原のお茶飲めなくなるし、接点なくなるし」

「なんて言えばいいんですか…」

「で、旦那はどんな男だっけ」

「社長にしか言いませんよ?小田切…琥太郎です…」

「は…い…?あの…5年目の結婚の…?」

「黙っててすみませんでした…」



それから社長はガックリ。



社員も心配してたけど、社長にならきっとステキな人が現れるはずだもん。



そう信じてる。



「想ちゃんお迎えだよ~!!」

「おかえり、ママ」



あたしは想とコタロー以外家族にはなれないと思ってるから。



だから社長の気持ちに応えられなくてごめんなさい…。



「想太郎、ママね、お仕事やめることにしたからね」

「なんで?」

「ママが働かなくてもよくなったの。いつもお家にいるからお迎えも早くなるよ」



嬉しそうな想太郎を見て、あたしの決断は間違ってないと確信した。