「今日の夕飯は〜何がいい?」
スーパーで買い物を始めた遥は、
どっからどう見ても、
“女”で…。
「………ね、遥」
「………ん? 何?」
「琉美と、どう?」
「どう…って?」
今の質問で
わかってほしかったのに…。
まぁ…仕方ない。
これが遥だ。
「バレてない?」
バレてないから遥に
恋しちゃってんだけど。
「たぶんね。なんか…琉美といる
と、“男”でいようとする…って
いうかさ。バレないように毎日必
死だからね〜。それはそれで、い
い影響与えられてる感じ」
「…………戻りたくならねぇの?
本来の自分に」
「戻りたくねぇわけじゃねぇよ?
でも…戻っちまったら、俺は、こ
こにいられなくなる。同じ過ちを
また繰り返す。だから…戻りたく
ないってウソをつき続ける」
離れていた間の遥の過去は、
詳しくは知らない。
風のウワサで聞いた程度。
だけど…おおよその検討は
ついている。