「マジ、おもしれー」

「もぉ、笑わないでよ」

「亜美の親らしくねぇよな」

「なんで!」

「亜美ってさー、あんまり騒がないじゃん。おっとりって訳じゃないけど、なんていうのか無駄口がないとういうか・・・でも家族みんなおしゃべり好きそうじゃん。なんで亜美だけ違うのよ」

「ほらやっぱり馬鹿にしてる。私泣くよ」

「いい家族じゃん。俺の親に比べたら、何十倍もいい親だよ。普通娘のお前を泊まらせてくれなんて言わないだろ。それだけ亜美を信用して理解してるってことだろ。だから大切にしなきゃな」

そう言った健太くんの目が少し寂しそうできっと自分の親のことを考えたのかなぁと思ってしまった

「今日は疲れたな」

「私は今まで一番最高のライブだったよ」

フッと笑い私の肩に手を回した

「俺らさ、今年本格的に活動して行くから・・・きっと亜美は寂しい思いをする時があると思う。その時は我慢出来る?」

「うーん、どうだろうね。その時にならないとわからないよ」

多分寂しいって言うだろう
でも心配掛けたくなくて、強がって言ったんだ

「寂しい時は寂しいって言え。隠すことないから。我慢される方が辛いし」

この人はこういう人。我慢とか気持ちを押さえるとか絶対に嫌がる。隠し事が嫌いなんだ

「うん、ちゃうと言うよ。心配しないで」

「絶対だからな」

「うん」

そう言って健太くんはわたしの膝で寝てしまった

今日、緊張して、たくさん歌って・・・

一気に疲れが出てきたんだろう
私はソッとよけて布団を掛けて寝かせた

今年はきっと、歌うことで充実されていくんだろうな・・・
もしかしたら私のことを忘れてバンド活動をするのかもしれない
でもそれでも私はいいと思った。健太くんの夢だから・・・