消えていた照明がステージだけにライトが辺り、
みんなそれぞれ自分のポジションにいた

周りはすごい人で、すべてBlacksのファンの子達だった
私の後ろの子は悲鳴のような声を上げ、
会場はすごい興奮状態だった

「こんばんわー今日は年越しライブに来てくれて、ありがとう!今年最後の締めくくりとして、Blacksを見て行って下さい」

健太くんが喋り終わった瞬間、
会場が動いている感じになり、床が揺れている

みんな必死で手を挙げ、みんなの名前を呼ぶ
私が始めて来た時よりも確実にファンが増えていた

歌を歌っている健太くんを見ていると、
遠くに行ってしまいそうになる
私といる時とはまた違う笑顔で歌を歌い、
いっぱい動き回って、みんなの目を見て歌う
ライブに来た時だけ、
健太くんは私のものではなくなる
Blacksの健太くんになるんだ・・・

前半が終わり、5分ほどの休憩に入った
ふとその時後ろの方から聞こえた

「前の列にいるのメンバーの彼女らしいよ。彼女だからって一番前ってどうなの?うぬぼれてんじゃない」

その言葉を聞いて、確かにそうだと思った
Blacksはファンの子達がいて成り立っている
ファンの子達がいたからここまで人気が出た
私は申し訳ない気持ちで

「トイレに行って来るね」

と言って、一番後ろに下った

ここに居たって健太くんは見えるし、声も聞こえる