「……ー!…ーか!」


誰かに呼ばれている?
体が揺れてる?

うっすらと目を開けると見覚えのない男子学生が立っていた

「蒼歌!やっと見つけた!!」

言ってる意味がわからない
ネクタイの色からしてきっと新入生だろう
話がそれるがこの学園の始業式と入学式が同時に行われる

「あの…どちらさまですか?」

なんとか声を出した

「嘘!?覚えてないの!?」

コクリと頷くと男の子は泣きそうな顔になる

「ご、ごめんなさい!あの、名前は?」

必死に思いだそうと、とっさに名前をきく

「星ヶ丘龍斗」

星ヶ丘!?あの大財閥の!?
なんでそんな人が私の名前を知ってるの!?

「ねぇ!!思い出した?」

「あ、あの人違いじゃないですか?」

今更になって周りの騒がしさに気が付いた

(あれは星ヶ丘財閥の!)
(あの女誰よ!?)
(なんであんなブスが龍斗様と一緒にいるの!?)


血の気が引くのを感じた

「す、すみません!私はこれで!」

私はそれだけを言い残して走り出していた