最低、最低、さいってー!!!


「ばかやろ~!!」


あまりの怒りと空しさで、涙が溢れる。
もう……

初日から、なんなの?
あたしはキス奪われに来たんじゃないよっ。



「おーい」


……?


シェアルームから声がして、振り向く。
あ、えっと……


「ミコトさん……ですよね?」


「お、なんで知ってるん?和からか?」


「はい、すみません」


あたしは慌てて涙を拭って笑った。


「なんかあったん?」


「い、いえ?」


「泣いとったんちゃう?目赤いし」


バレてるよ、というようにミコトさんは目を指差して笑った。


「あ、あは?ちょっと……」


「まあ言いたくないこともあるか。どうもおせっかいでな~」


「ううん、ありがとう」


「そうか?ほな、また」


やっぱりいい人!
歩いていくミコトさんを見ながら思った。

キスぐらい何よ!

和兄ちゃんとゴハン、行くんだ。
忘れよう!!


そうしてようやく、自分の部屋に入った。
1階に部屋があるなんて珍しいって、ミコトさんが言ってた。
でも、すんごく可愛いお部屋なの。
出窓とかベッドとか、女の子らしい造りになってる。

嬉しい。