「お前だけに秘密を握られるわけにはいかない」


「何言って……」


すっと顔が降りてきて、あたしの顔が青い瞳に映る。
う……わ……


「どきどきしてんの?」


「してないっ」


「そう」


ライトの細くて長い指があたしの唇をなぞっていく。



「やっ……」


なに、この感じ。
熱い、動けない……


クスッと不敵に笑って、


「このマンションの管理人って知ってる?」


イタズラっぽく耳元でささやく。
知るか、バカ。


「お・れ」


少し首を傾けて楽しそうに言う男。
あたしは全身の血の気が引いた気がした。

管理人、つまり住まわせてもらっている身。



「キスしたことないの?」


「……っ」


恥ずかしくなったことが悔しい。でも、ほんとのこと。



「俺が教えてやろうか、いろんなこと」


「いいっ……」


涙目になりながら、あたしはなんとか腕に力を込めて抵抗した。