エレベーターで1階まで。
一体何だっての??


「あの……」


「何?」


ビクッ

上から睨まれる威圧感と、独特の空気、何も言えない。



「名前は?」


「みく……です」



小さな声で返し、ちらりと見るとサングラスをはずしていた。
青い瞳がのぞく。

ドキン……

ちょっとちょっと!
何よ、ドキンって!

確かにかっこいいけど、ダメダメ。あたしには和兄ちゃんだけだよ。



「なに百面相してんの?」



気付くと、‘Bar’と書かれた大きな扉の前だった。
1階にこんなのあったんだ。



「入れよ」


「あ、うん」


中はまさしく、テレビで見るようなバーで、カウンターや照明なんかオシャレに決まってる。
奥にも部屋があるのかな。



「ここは……?」


「俺の仕事場のひとつ、かな」


「ふ~ん。かっこいいね」


あちこち見て回るあたしを、ライトと名乗った男がまた見つめて言った。


「お前の仕事場にもなるから」


「……?」


あたしはしばらく沈黙し、考えた。
待って、待って。
バーってお酒だよね。バイトはしたいけど、ここは無理なんじゃない?ってゆうか、なんで勝手に……