「こんなとこでなにしてるの?」
幼い声が、僕の耳を通り抜ける。
「君は誰?」
僕は振り向かずに声に訪ねる。
「ゆうき」
「ゆうきくん?」
「ううん、ゆうきちゃん」
「ほら」って
声の主は僕の前に回り込んでくる。
目の前に現われたのは、ふわふわの髪を2つに結んだ女の子。
「ほんとだ」
「ふふ、わたしのしつもんにはこたえてくれないの?」
女の子は首を傾げて笑う。
「何もしてないよ」
「ないてたでしょ」
「ないてないよ」
「うそつき」
「…ごめん、ないてた」
僕が俯くと、ゆうきちゃんが僕の顔を覗き込んでくる。
「あしたもここにいる?」
「いるよ」
「じゃあまたあしたもくるね」
そう言って、ゆうきちゃんはまた笑った。
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