「ありがと。」


小さくつぶやくとお兄ちゃんは優しく笑った。


階段を駆け下りると、お母さんがいつもよりめかして鏡の前に座っていた。


「行ってくれるの?」


帰ってくる答えは、薄っすらだがわかっていた。



「当たり前でしょっっ。大事な娘がどうしてもって言うんだから。」



昨日はあんなんだってけれど、ちゃんんとわかってくれる母親だ。



お父さんの説得もきいているのかもしれない。



「早く朝ごはん食べて。遅れちゃうわよ。」


私はトーストで焼いてあったパンをかじった。


お母さんは車のエンジンをかけに行った。