「だから最初お前が来たときは嫌だった、でも関わっていくうちにお前なら信じられるって思ったんだ…」
「潤希くん…」
あたしは涙が出てきた。
「なんで泣くんだよ」
「だって、潤希くんに…、認めてもらいたような…」
「もうお前はここの一員みたいなもんだろう」
「うう…」
よかった…
あたし、潤希くんに仲間って認めてもらえた。
「さっさと泣きやめ、礼羅がお前の泣き顔見たら俺が怒られる」
「うん」
あたしは腕で涙を拭いた。
「ねぇ潤希くん」
「なんだ?」
「言いたくなければいいんだけど、清香さんのこと忘れられないの?」
すると潤希くんは顔を下に向けた。
「…ああ」
「そっか…」
やっぱり潤希くんのどこかには清香さんが残っている。
「なんか、おかしいんだよな」
「何が?」
「普通なら忘れられるのに、どこかで期待している自分がいるんだ」
「……」
あたしたちは礼羅が戻ってくるまで黙ってていた。
………………………………………
昼休み
あたしは翔子と中庭でお昼を食べていた。
「やっと塾休めるわ~」
「よかったね!」
「うん、そういえば有菜学校に転校生来るの知ってる?」
「転校生?」
「なんか転入試験余裕で合格して入れたんだって」
「へー」
余裕で合格ってことはそれほど頭がいいのか…
「どこのクラスに行くの?」
「うちのクラスだよ」
「そうなんだ~」
「明日から来るらしいよ」
「へー」
転校生か…
ときどき学校が嫌すぎて転校したいって思ってたっけ。
でも今は翔子いるし、礼羅たちもいる。
そんなことは思わなくなった。
そして翌日
クラス中では転校生を見るためにみんな翔子のクラスに行ってた。
「転校生めっちゃ綺麗だったよね!」
「しかも頭いいとか完璧でしょ!」
クラスは転校生の話題で盛り上がってる。
「名前なんだっけ?」
「んー、確か下平清香じゃなかった?」
………え?
下平清香…?
潤希くんの元カノと同じ名前だ。
けどあたし顔知らないんだよな。
もしかしたら同姓同名ってのもあるかもしれない。
あたしはそこまで気にはしなかった。
そして授業も終わって放課後。
「有菜!」
翔子があたしの教室まで来た。
「帰ろう~」
「うん」
あたしは帰りの支度をして翔子とお店に向かった。
「そういえば転校生どんな感じだった?」
「もう美人!完全無欠って感じ!」
「へ~」
「なんか会話聞こえたんだけどさ、昔ここの近く住んでたぽいよ」
「え…」
ここの近くに住んでた?
まさか…
「中3ぐらいのときに引っ越したんだって」
「へぇ…」
本当に潤希くんと付き合ってた清香さんってこと!?
「有菜?」
「ん?」
「なんか変だよ?」
「そう?」
「またなんかあった?」
「ううん!なんにも!」
「ならいいけど」