もちろん、私も例外なく、彼の笑みに胸を打たれたうちの一人ではある。

急激に上がる体温に熱を帯びた頬を両手で押さえ、
真っ赤になった顔を見られまいとして下を向いた。

いつも、修には心をかき乱される。
いたずらに、私に甘えてきたり、さっきみたいな不敵な笑顔。

私にはもったいないくらいの綺麗な顔立ちをした修は、その女子にモテる甘いマスクで、
私を誘惑し、からかってくる。

それに素直に反応してしまっている私が恥ずかしくって、
そして、不釣り合いなんじゃないかと、
周りの人からどう見られているのかが気になって、

いつも彼から逃げている。


とにかく
ドッドッと大きく波打つ心臓を鎮めようと、

私は眠るときによく使う、羊を数えだした。


羊が一匹…

羊が二匹…

これは私が良く使う、精神安定法。

というか、単純に他のことに気持ちを集中させたいだけ。
心を落ち着けるのに、羊、というのが私にはしっくりくるのだ。


二十匹目を数え終わった辺りでようやく落ち着きを取り戻した私は、
そそくさとたっちゃんと真君のそばへと駆け寄る。


遠くから、私を見てにこにこと笑顔を浮かべる修に、怒りを込めたあっかんべーをして
私はお邪魔かなと考えながらも、たっちゃんたちの話に入って行った。