いいなぁーなんて、
そんな二人を微笑ましく見つめていたら、
突然、ギュッと右頬に鈍い痛みを感じた。
「ほら、ボーっとしてんな。前、進め。」
見上げた先には、意地悪そうな顔をした修の顔が私を見下ろしていた。
「い、痛いよ!」
さっと距離を取るように離れた私は、じとーっとした目で修を見上げる。
「なんで、ほっぺたつまむの・・・」
修の理不尽な行いに、反撃しようとつままれた頬をなでながら、そう問えば、
にやりとゆがむ唇から、
「してほしそうな顔してたから。」
きらりと輝く王子スマイルが飛び出した。
キャッと周りから女の子の黄色い声とひそひそ声が聞こえる。
かっこいい、とか
今の見た?とか。
ここは人が多い。
ただでさえ色素の薄い髪、
そして一際目立つ甘いマスクから放たれる不敵な笑み。
私が言うのもなんだが、私の彼氏、修はおモテになる。
だから、こういった人で溢れたところではこうして必ず、人の目に留まるのだった。