言葉を失った私は地面の自分の影しか見れなくなっていた。

夕陽に照らされて伸びる黒い影は幾分か先ほどよりも伸びたように感じる。


どうしよう・・・

こんなはずじゃなかったのに…と
反省しかできないでいる私を見かねた修が大きくため息を漏らした。

その溜息に方が少し震える。


「・・・ったく、俺は美月のものなんだから、甘えたっていいんだよ。」


パッと取られた手首はすぐさま強い力によって体ごと引き寄せられ、
大きく広げられた腕に包み込まれた。


「なんで、わかんないかな。
俺は、美月のわがままも、意地張ったところも、怒ったところも、

全部が、


全部が好きだ、好きでしょうがないんだよ。


だから、甘えてきても、我がまま言ってもいいんだって。


つか、むしろ、もっと甘えろ。」


ぎゅっと背中に回されたうでに込められる力に、胸の奥がきゅっと締め付けられた。


「…でも、」

「“でも”禁止!俺に甘えたくないやつが、でもとかずるい言葉使うな。」


ぐっと、言葉に詰まる。

言ってることはひっちゃかめっちゃかなのに…




伝わる熱が


ひどく、心に染み渡る。