そっと涙をぬぐってくれるその手は少しばかり荒っぽいけれど、
伝わる熱が心地よい。
「泣いて…なんかっ・・ない」
こんなわかりきった嘘、ついてしまう私はほんとにずるい。
こう言ったら、きっとまた修は私をかまってくれるとわかっているから。
「はいはい。みっこちゃんは強いもんねぇー」
・・・ほら。
ちゅっと目じりに落とされるキス。
続けて、おでこ、頬、…そして唇に。
優しいキスに包まれて私は目を閉じた。
―――
「はい!!!おかえりなさー…い・・」
元気なお姉さんの声が尻すぼみに小さくなっていった。
それもそうだった。
すっかり、自分たちが観覧車に乗っていることを忘れていた私は、
修の膝に抱かれ、しっかりとお互いに腕をまわしたままの体勢。
声につられてくるっと振り返ってしまったがために、
目があってしまったお姉さんはきっと私と同じくらい顔が真っ赤になっていただろう。