「・・・美月!!」
ぐっと引き寄せられる感覚。
視界が真っ暗になったのと同時に身体全体がぬくもりを得た。
「そ、それでは、いってらっしゃいませー」
ひきつった声が聞こえると、近くでバンッとドアの閉まる音が聞こえる。
一気に静寂に包み込まれた。
耳に感じる速い鼓動は、私のものではない。
すぐそばに修を感じた。
いつもの暖かさをすぐそばに感じれたことに、
午後の修の冷たさの反動なのか、
ずっとこのまま抱きしめていて欲しい、という感情が私の心を占める。
そっと修の背中に腕をまわすと、
そのぬくもりを逃がさまいと、しがみつくように抱きしめ返した。