「お次の方、どうぞー」

係りのお姉さんが、私たちを誘導する。

私の先を進む修は、「足元気を付けてくださいね、」というお姉さんの案内に、
にっこりと笑顔で応えていた。


その笑顔にあてられたお姉さんもまた、
頬を赤らめて照れた笑顔を見せる。


ずきっと胸が痛む。

そして、前に出す一歩が踏み出せなくなった。


すぐそばをゴンドラが過ぎ去ろうとしている。

案内のお姉さんは乗ろうとしない私にオロオロと困惑していた。



このまま、乗らずに走り去ってしまおうか。


そんな思いがよぎる。

こんな私が修の彼女だなんて…みじめで仕方がない。


もっと可愛くて、素敵な人なんて、五万といるのに。

なのに、こんなつまらないことで意地を張って、怒って…

きっと愛想を尽かされてもしかたがないことはわかっていた。

自分でも可愛くないって、直さなきゃって。

直して、前に進まなきゃいけない、って。





けど…今は、涙がにじんで


前が見えなかった・・・。