---一時間前。


「よしっ全員そろったな。んじゃあ、入るか!」

明るく弾んだ男の子の声。

今どきのおしゃれな格好の彼は私たちの方を振り返って白い歯を見せた。

「うん!わかった今いく!」

それに応えるのは、目のクリクリな私の親友、里奈。

つやつやとした綺麗な髪を揺らしながら私の腕を取った。


「ほら!みっこ。もう、ここまで来ちゃったんだから、腹くくりなさいよ。」

ぐっと私の腕を引っ張って歩き出す里奈に引きずられながら、
私はそばを歩く、たっちゃんに助けを求めた。

「たっちゃん!たすけてよぉ!」


今にも本当に流れ出てきそうな涙を目に浮かべ、
助けを求めた私に対して、

「いいじゃない!なんか楽しそうだし!」

と明るく答えた、たっちゃんは里奈ときゃっきゃと盛り上がりながら、
入場ゲートをくぐって行く。


「もう・・みんな勝手なんだから…」


一人、陽気な音楽の流れてくる入場ゲートの外に取り残された私は、
人で溢れる中の光景にため息をこぼした。