「そうね。可愛い女の子には、皆が手を出したがるみたいな感じね。

分かるなあ。」



愛弓の例えに次郎も僕も戻って来た佐竹も笑った。



「まぁどうなるか分からないが、せっかくだから明日本格的に掘ってみよう。」



次の日から本格的な温泉掘削と浴場増設が始まった。


上島が、昔のトンネル掘削の経験を活かして陣頭指揮をとった。


もちろん平行して他の作業も続いたが皆興味津々で温泉の作業を休み時間を利用しては、観に来た。


単純泉だが傷や骨折に効くと言う人も居れば、アルカリ性硫黄泉で美肌に効果があると言う人も居たが皆温泉の街に住んでいるのに詳しい事を知る物は居なかった。



上島曰く温泉の街に住んでるからこそ細かい事を知らないんだとの事だった。


温泉が身近に有りすぎる為に温泉について深く考えてないと言うのは、何となく僕にも分かった。


しかし、温泉がこんな形で出た事に関しては、皆が驚いていたし大小島伝説に関しては、あらゆる説が出た。


鬼が住んでた島や江戸時代初期に急に現れた島だとかいやいや、邪馬台国は、実はここに、最初にあったなどの荒唐無稽な物まであった。


徳川埋蔵金に話しも出たがこれもかなり怪しい話しだった。

だが、共通して出た話しは、かつてここには、温泉が沢山出て傷や病気を癒したと言う話しだった。