佐竹は、少し申し訳無さそうな顔をしたがやはり、まだ温泉が出た事に興奮してるのか愛弓に蹴られながらも話した。



「純一君、愛弓ちゃん分かるけど、とにかく、見てよ。お湯が出てるよ。」



僕も愛弓も穴に入り確認した。


確かに、暗がりの為にはっきり分からないが泥に混じったお湯が出ていた。


次郎は、いつの間にか洞窟に戻っていた。



「佐竹ちゃんが、要らない事言うから次郎さん怒っちゃったよ。本当デリカシーがないよね~。

レスリング馬鹿!」


愛弓は、佐竹に悪態をつくと洞窟に戻った。


僕も、少し佐竹が可哀想な気もしたが愛弓に付いて戻った。


次郎は、焚き火の前に座りコーヒーを飲んでいた。



「次郎さん、だけどすごいね。なぜ、分かったの?」



「ああ、あの場所を通る度に匂いとなんとなく熱気を感じてから今日じっくり触ったり匂ったりしたんだよ。


もしかするとと思ってな。」



「しかし、こりゃすごいですね。」



「そんなに喜ぶ事ばかりじゃないかもな。」



「なぜですか?」



「そりゃ、ここに、温泉が出たってなればこの島は、前より重要な場所になるからさ。」


「なるほど。そうですね。観光資源ですからね。

前より厳しい状況になるかも知れんね。」