「純一、疲れただろう。佐竹すまんが代わってやってくれ。」



僕は、温泉を堀り当てた事にびっくりしたが確かに、泥の中から匂ってくるのは温泉独特な硫黄の匂いだった。



「次郎さん、これって大小島伝説ってやつですか!?」



佐竹が、声をあげた。



「多分な。佐竹悪いな、純一と代わってやってもう少し掘ってくれ。

純一も体力の限界だろう。」



確かに、僕は疲れていた。

佐竹が手を出して僕を穴から引っ張り上げてくれた。


佐竹は、僕からスコップを貰うと穴に入って行き更に堀り始めた。



「次郎さん、大小島伝説ってなんですか?」



「純一は、若いから知らないのか?」



「私も知らないよ。」



愛弓も知らなかった。



「なるほど。まぁいろいろな話しがあるんだが詳しくは、俺も分からないよ。


子供の頃には、ここには、鬼が居るとかも聞いたし、最近良く言われてたのが、ここはその昔は、陸続きで温泉が豊富に湧いてて名だたる武将達や歴史上の有名人が怪我の治療に来たって話しだが、まぁ名だたる武将や歴史上の有名人の中には、坂本龍馬、土方歳三も入ったなどと言うくらいだからどこまでが本当なのか分からんよ。


ただ昔から言われてたのは、平家の落武者達が温泉に浸かりに来て傷を癒して最後の砦にしたって話しが俺達の年代では、良く聞いた話しだよ。」