次郎は、そう言うと僕に、スコップを渡した。
僕は、次郎の掘った穴を見た。
山に斜めに深さ1メートル幅直径は、1メートル弱の穴が掘られていた。
何だか土が濡れていて暖かい空気が流れて来るような気がした。
僕は、意味が分からないが次郎の後にスコップを貰った事の責任を感じながら更に深く穴を掘った。
深さが2メートル近くになった所で次郎が僕を止めた。
次郎は、穴にペンライトを当てると中にスコップを突っ込み土を堀り出しその土を触ったり匂ったりした。
土は、かなり濡れて泥に近かった。
「純一、もう少しだ。行けるか?」
僕は、頷いた。
2メートル近く掘った為に入り口を拡げないとこれ以上深くは、難しかったので僕は、穴の周りを拡げにかかった。
何かある。
僕は、確信していた。
更に1メートル掘ると硫黄の匂いがし始め土が温かいお湯にまみれるのが分かった。
「やはり、温泉だな。」
次郎が呟いた。
「温泉!!」
愛弓が大きな声をあげた。