目が覚めると次郎は、テントにもう居なかった。


次郎は、前と同じように焚き火の前の流木に腰掛けコーヒーを飲んでいた。


僕が、挨拶をすると昨日のうめき声は、嘘のように微笑んだ。



「久しぶりの島は、いいなあ。

病院のベッドよりよほどいいな。」



僕は、昨夜のうめき声については、何も言えなかった。



その日も作業は、続いた。次郎は、あちこちを見て歩いたが作業の指示だけで手を出そうとすると周りから止められたようだった。


海上保安庁の巡視船が来たのは、昼食を終えて皆がくつろいで居る時だった。



船からスピーカーで呼びかけられた。


「こちら海上保安庁の巡視船。

大小島を不法占拠している人達早く島から出なさい。」



「まずは、海上保安庁か。

純一、ダイナマイトを持って来い。

威してやれ。当てるなよ。」



次郎は、少し笑いながら僕に言った。


僕は、ダイナマイトを2本持って来ると初めて火を着けて海上保安庁の船のかなり離れた所に投げた。


ド~ンと着水前にダイナマイトが破裂した。


「純一もっと近くだ。こうなったら軽く当てるくらいでもいいぞ!

それとも河田お前があの船に漁船でアタックするか何処かの国のようにな。」



次郎は、笑った。