帰りの車
文哉は反対方向へ車を走らせる

『どこ行くの?』

「まあ、黙ってろって」


どうやら南へ向かっているみたい
すると景色がパッと開けて
夕日に輝く海が見えた


『すごーい!きれい!!』

私は窓を開けて潮風を吸い込む

しばらく走ると海水浴場へ出た

「はい、降りて」


夏のような賑わいはないが
カップルが数組いる

砂浜や岩場などでいちゃついていた


『わー・・・』

「観月、こっち!」

少し先を歩く文哉に手招きされ
小走りで駆け寄る


「大学のとき、サークルで来てさ
それから俺のお気に入りの場所なんだ」


今まで何人の女の子を
ここに連れてきたか知らないけど
この綺麗な景色の前では
そんなヤキモチは
本当にちっぽけなものに思えた