ぼーっとテレビを眺めていると
チャイムが鳴った

ふと時計を見ると10時
モニターには
そわそわしている文哉が映っていた


『10時が嫌いになりそう』

玄関へ行って鍵を開けると
ドアがバッと開いて
苦しいくらいに抱き締められた

『や、離してっ・・・』

文哉の体を叩くけど力は緩まない

「ごめん」

私はもがくのをやめて
文哉の背中に手を回し身を預けた
文哉は少し力を抜いた

『私こそ・・・』

「観月は謝らないで?」


おでこに優しいキスが落ちる

『ご飯途中なの』

私はするりと腕から抜け出して
部屋のなかに入った