「観月っ・・・愛してる」

ようやく離れた文哉の口からこぼれた言葉
形にして残しておければいいのに

『あたしも・・・幸せすぎて怖いよ』


現実の世界に戻る合図かのように
私の携帯が鳴った

「陽子からだ・・・
もう10時!!早いなあ・・・」

『10時か・・・』

明日は仕事
一緒にいられる時間は限られている

『今日、泊まっていく?』

「いや、帰るよ
明日も仕事だしな。」

『じゃあ下まで送っていく!』
「いいよ、マンションとはいえ
変なやつがいないとは限らないし

・・・そんな顔すんな!」


私はすぐ顔に出るから
寂しいって気持ちがバレたみたい


『私が帰っちゃやだって言ったらどうする?』

「もう言ってるようなもんだろ?」

文哉は困ったようにクスクス笑った

「最後に・・・」


そう言って今日3回目のキスをして
文哉は帰っていった


軽いさよならのキス
なのに私の心臓はすごい音でなっている