『バレた?』

どうしてだろう・・・
普段なら陽子にだって
“考えてない”と嘘をつくのに
文哉には素直になってしまう

文哉は隣に座ると
私の頭に大きな手をぽんと乗せた


「だって観月の頭の上に
高木って文字が浮かんでたもん」

『考えたってどうしようもないのにね』

「俺はそうやって他人のこと
きちんと考えられる観月が好きだよ」


一気に体温が上がる

『もうっ!』

文哉の手を振り払って背中を向ける

どうしてそんな恥ずかしいことが
すらすら言えちゃうの?


「高木には俺からちゃんと言っとくから」

そう言うと後ろから抱き締められた

心臓がパンクしそう
今までで一番速く鼓動している
文哉が顔を埋めている首筋にも
心臓があるみたいだ

どうにかなってしまいそう

『そうじゃ・・なくてっ・・・』

振り絞った言葉は途切れ途切れで
文哉が顔を覗きこむ

私は顔を反らして
文哉の腕からするりと抜け出した