久々に繋ぐ手と手

旅館までは荷物があったから
繋げなかった

まあ・・・
会ったとたんに抱き合ったけど


『ねぇ、あの女将さんどうして松下だって
分かったのかな?』

「ああ・・・チェックインする時間
伝えてあったからじゃないか?」

『へー』

「何で?」

『ん?別に、ただなんとなく!』


私達はしばらく温泉街をうろうろして
旅館に戻った


「まだ時間あるなー」

『お腹空いたね!』

「観月、こっち来て?」


テーブルに向かい合って座っていた文哉が
手招きをする

『なあに?』

横に座ると文哉はごろんと寝転がって
頭を私の太ももに乗せた
顔を上にして私と見つめあう形になる


「ん?なんか感触変わった!
やっぱり痩せたよな?」

『そうかなあ?』

なんて言ってみるけど
本社に異動してから4キロ痩せた
まあ、異動したばっかのころより
これでも増えたんだけど・・・


「お前ただでさえ細いのに・・・
ちゃんと食ってんの?」

『うん、食べてるよ!』


新人研修が終わってからはね
とは言えない

「とりあえず食う時間を仕事にあてるなよ」

『だって・・・』