ばたんっと家のドアを閉め
ようやく一息つく

『店が近くてっ、よかったあ・・・』


気付くと文哉に電話をかけていた

「もしもし!?」

『あっ・・・』


慌てた文哉の声でふっと我に帰る
電話してどうするの?
なんて話すの?

「観月?どうした?」

息が上がっているのを聞いて
文哉が心配そうに言う


『文哉、ごめん・・・』

「何?何かあったのか?!」

『熊谷亮に・・・迫られて・・・』

私は玄関に座り込んでしまった

「はあ?!
な、どういうことだよ?
説明しろ!」

『そんなっ、怒らないでよお・・・』

「あっ、わりぃ・・・
で、大丈夫だったのか?!」

『逃げて、来たけど・・・
告白、されちゃった・・・
怖かった・・』


何の返事も来ない

『文哉?』

「有り得たじゃねえか・・・」

『え?』

「俺の不安的中したろ?
油断すんなってあれほど言ったのに」

『ごめんなさい・・・』

「本っ当に!!何もされてない?」

『うん』

「そっか・・・大丈夫?」

『大丈夫じゃない』