「君の能力は充分、かっておる
指導は優しく、丁寧にな?」

『はい・・・』

「話は以上だ!」

社長は(横に)大きな体を揺らして
満足そうに笑っていた

『失礼します』


社長室を出て、広報へ戻る

ふと、今まで感じなかった
“文哉のいない寂しさ”が込み上げてくる


『はあ・・・』

「せーおーちゃん♪」


うつむいた顔をぱっと上げると
笑顔の横山さんがいた

『横山さん!!
どうしたんですか?』

「どーしたもこーしたも
瀬尾ちゃんが頑張りすぎてるせいで
陽子ちゃん、俺と会ってくれないんだぞ!
もうっ!」

『そんなこと私に言われても・・・』


横山さんの前では気が抜けない
全部文哉に報告が行くから


「文哉も心配してたぞ?」

『失礼します』


文哉の話はしたくない
仕事に支障が出てしまう