チャンスだと思った私は
最低な女だ

必要としてくれてる人が
こんなに近くにいるのに


文哉の部屋にある
私のものを手早く集めて
急いで部屋を出た

明日には出ていくことも告げずに


支店長からメールが届いていた

―――
始発で本社に向かってくれ
交通費はあとで出す

―――


返事をする気になれなくて
携帯を閉じた


部屋に帰って荷物をまとめる
家具などはあとからくるので
とりあえずは身の回りのものと
生活必需品だけ持っていけばいい


鼻の奥がつーんとして視界がにじむ

『文哉あ・・・・』


自分のとった行動を
ただただ悔やむばかりだった