山下くん…あたし達って、友達の境界線を越えることも許されないんだね。



少し避けると、山下くんは何事もなかったかのように通りすぎていった。



「山下く〜ん…」



色気を忘れて悲しみの声で、山下くんの背中へ訴えた。寂しすぎるよ、無関心だなんてぇ…。



「…………」



だけどね、嘆き効果が効いたのかもしれない。山下くんが立ち止まった。そして、



「………貸して」



あたしに向かってそう言った。へ?貸してって…あたしを!?やだ…そんなにあたしが欲しかっ…



「あんたじゃない、それ」



あたしじゃなければ誰が欲しいのよ!悔しさを噛み締めながら山下くんが指差す方を見ると、



「え、ちり取り?」