「本当に置いていくなんて~」



渋々ベッドから出て、スリッパを履く。教室行けって言われたし、授業受けたくないけど受けるしかないっか。



ガラッ



「遅い」



でも、保健室のドアを開けると、保健室の掲示板の隣で、壁にもたれていた山下くんの姿があった。



「えっ……待っててくれたの?」



「悪い?」



「そんなことない!てことは、お姫様抱っこで教室まで……?」



「違う。途中まで一緒に行くだけだ」



「夢はまだ遠いってことね?」



「……そういうことでいんじゃね」



山下くんの隣に並んでゆっくり足を進める。山下くんの教室と、あたしの教室へ行く階段のところでお別れするはずだから。



「あ~同じクラスだったらいいのに~。留年しようかな?」



「バカな考えはやめろ」



「じゃあ、山下くんが飛び級してよ!飛び級ならぬ飛び学年!」



「しないし出来ないから」



授業中で静かな廊下に響くあたし達の声。まるで、2人きりの世界にいるみたいだね。



「となれば、やっぱり留年だよね?」



「真面目に考えるなよ」