だから、あたしも山下くんにとって、必要不可欠な存在になりたいんだ。



「大袈裟だって」



「本当だもんっ」



「分かったから、ちょっと動かないで」



そう言った山下くんの右手が、ゆっくりあたしへ伸びてきた。



「ちょっ、山下くん!?」



待って。これって、待ちに待ったチューの流れなんじゃないの!?キャ~!心臓がバクバク。体を流れる血流も大暴れ!



でも大丈夫。山下くん、あたしの心の準備は出来ているわ!ほら、カモ~ン!



「……やっぱり鼻血か」



え?



「アンタ、鼻血出てる」



「え!?嘘!?」



慌てて保健室にある等身大の鏡の前に立つ。そこには、タラーッと鼻血を垂らしたあたしの姿があった。



「い、いやぁ~っ!」



大慌てでティッシュ箱を見つけ、ティッシュを1枚取り出して鼻につめた。



「……なんでまた」



「山下くんのせいでしょ?あ~恥ずかしいっ」



好きな人の前で、ティッシュを鼻につめてるなんて、自分が情けないよ。



「気にしないけど」



「本当に?」



「うん。…………ふっ」



ほら、笑ってるじゃん!