「あっでも、山下くんかは分からないけど、1人の男子が滝沢さんの手をずっと握ってたわ」
え?
「滝沢さんが運ばれている時から、本鈴が鳴るまでずっとね」
そんな……山下くんが?
「そろそろ授業終わるし、来るんじゃない?」
山下くんが?夏生は来てくれそうだけど、山下くんはどうかな?
ガタッ
「失礼します」
すると、男子生徒の声がした。
「ほら、来た」
先生の言う通り、山下くんが来てくれたのだ。
「山下くんかな?授業終わったの?」
「はい。早く終わったので来ました」
そう言った後、あたしのいるベッドを見た山下くん。
「目、覚めたんだ」
「うん!ずっと手を握ってくれてたんだって?」
あたしがそう言うと、ハッとしたように先生を見た山下くん。
「私は職員室行ってきまーす」
先生はそそくさと保健室を出ていった。先生、2人きりにしてくれてありがとう!
「その反応だと、本当なんだ?」
「……だったら?」
「超嬉しいっ!」
心配してくれた、そう思っていいんだよね?
「あれで倒れるってどうかしてる」
「それくらい、山下くんは破壊的な存在なんだよ」