「何がだよ」



「山下くんは、葉月のことが好きなんでしょ!?だから、あたしが悪口言ったら味方するんでしょ?」



ついにあたしは立ち上がって言っていた。



「前に、葉月のことをどう思ってるか聞いたことあったよね。嫌いなら嫌いって言えるのに、山下くんは何も答えてくれなかったじゃん」



気づいていたけど、気づきたくなかった。



山下くんがあたしのことを好きになってくれるといいなって思いたかったから。あたしのことを好きになって欲しかったから。



「は?意味分かんね」



「それはこっちの台詞だよ!」



「おい、声大きいって」



「今はそんなの関係ないもんっ。もうね、あたしは怒りでいっぱいなの!」



こんなに怒りが出てきたのはいつぶりだろう。それに、よりによって山下くんを相手にしてとか……でも、心とは裏腹に言葉は止まらないんだ。



「あー俺だってイラついてるよ」



「ふんっ、気が合うね!」



「あぁ、顔も見たくねぇ」



「あたしだって、もう声も聞きたくないよ~だっ」



「ちょうど交代の時間だし、よかったよ。じゃあな」



そう言った山下くんは、あたしに背を向けて歩き出した。