だからつい、あたしは本音がポロッと出てしまったのかもしれない。
「彼氏いて山下くんに手を出したのに、申し訳ないっていう態度の1つも見えないじゃん」
なんでそんなに平気な顔をして、うちの文化祭に来て山下くんに会えたの?もう怒りで胸がいっぱいだ。
「……それは言い過ぎだろ」
でも、山下くんからは意外な言葉が返ってきた。
「え?」
「葉月先輩がキスして俺が逃げ出した時、ずっとごめんって言い続けてたんだよ。だから無神経なんかじゃねぇ」
「そんなこと……」
「アンタがそんなこと言う人だって、思わなかったよ」
冷たくて痛い、山下くんの目があたしの目を捉えた。
なんで……なんで、葉月の味方をするの?あんなに、女が苦手になるくらいトラウマを植え付けられたのに。
─────なんで……?
「んなの、あたしだってそうだよ」
なんで、葉月のことをかばうの?
「てっきり、山下くんは葉月のことが憎くて、顔も見たくないくらい嫌いなのかと思ってた」
どうして、そんなに冷めた目で見るの?
「……でも、やっぱり違うじゃん」