「紘樹のクラスって何するの?」
「展示だから面白くないよ」
「でも見てみたい!あの……」
「はいどうぞ、パンフレットです!」
無性に腹が立ってしまったあたしは、2人の会話を遮って、葉月にパンフレットを差し出した。
「これを見れば、今回の文化祭の催し物が分かりますよ。あ、うちのクラスのたこカフェにもぜひ、いらしてくださいね!」
「あ、ありがとう……」
ふんっ。少し強い口調で言ったからか、葉月の声が小さく聞こえた。
「もう行って。次のお客さん来てるから」
つづいて、山下くんも葉月に対して言葉を吐いた。葉月は少し戸惑いながらも、そそくさとあたし達の前から姿を消した。
「……どうも」
お客さん達にパンフレットを渡した後、山下くんがそう言った。
「あたしは山下くんを助けたかっただけ!」
葉月が山下くんに話しかけたこともだけど、2人の過去の事情を知ってるから、余計に腹が立った。
なんで、普通に山下くんに話しかけられるの?悪いことしたとか思わないの?って。
「でもさ、葉月って無神経じゃない?」