「山下くん!写真撮ってないよ!?」
「何の?」
「あたしと山下くんのだよ!あ~デジカメ教室に置きっぱなしだった~うぅ~」
受付の時に持ってきて、山下くんとの写真を撮ってもらおうと思ってたのに~。
「後から撮ろうね!出来れば山下くんのピン撮りと、それからあたしとのツーショットでしょ?それに……」
「そんなに撮るのかよ」
「え?まだあたしの写真も欲しいって?」
「人の話を聞け」
「山下くんの話は、一言一句聞き逃さないように聞いてます~」
「あーもういいや」
疲れたように頭をおさえる山下くん。そんな山下くんを少しでも慰めようと、山下くんの頭に手を伸ばした時だった。
「紘樹」
また山下くんのお母様が来たのかと思った。だけど、山下くんの表情が強ばっていて、この表情は前にも見たことがあるって体が騒いだ。
「…………葉月、先輩」
予想的中。あたし達の目の前に、あの葉月がいた。
「まさか、もう会えるって思ってなかったよ」
口元に手を当てて微笑む葉月。何よ、可愛こぶっちゃって!