「あら、そうね。あなた見に行きましょうか」
「そうだな。ちょうど小腹も空いてたし」
ほら~お父様とお母様もその話にのせられちゃったし!?
「滝沢さん、バカ息子ですけど、これからも仲良くしてやってください」
でも、最後の最後にお母様からお声をかけていただいたのだ。
「はい!いつかまた、お会いする日が来ると思います!」
「うふふ、楽しみだわ」
そして、行ってらっしゃい~と手を振りながら2人を見送った。
「余計なこと言わないで」
「余計も何も、未来のことを話したかったのに、山下くんが邪魔したから言えなかったじゃ~ん」
「あれが正解だった」
そして、またパンフレットをもらいに来たお客さんに挨拶をする山下くん。
こうして隣にいるとさ、普段は見えない山下くんの角度が見えてくるのよね。斜め45℃とか首筋もカッコイイ……。
「……仕事して」
もう、山下くんを見ることでさえも、あたしは許されないのかしら!?
「あ、あの」
「はい何ですか!?」
「パンフレットを………」
「あっ、すみませ~ん」
すっかり感情を露にしていたあたし。お客さんに声を掛けられて気づいたけど、1冊のパンフレットを握りつぶしていた。