「いや、しないで」
「そんなこと言わずに……」
「あっ!紘樹っ」
「……げ」
山下くんの顔がゲッソリとなった。その声の主を見てみると、女性と男性が山下くんに手を振りながら近づいてきた。
「来ちゃった☆」
「来るだろうって思ってたよ」
「もーもっと喜んでよー。こんなに無愛想な態度見せなくてもいいのに。ねぇ、あなた!」
「そうだぞ。紘樹、母さんを悲しませるな」
「…………はぁ」
山下くんの性格と正反対に見えるお2人。と、お母様があたしを見たので、あたしはすかさず自己アピール!
「あたし、滝沢沙良です。山下くんの1つ上の学年なんですけど、いつも山下くんと仲良くさせてもらっています!」
「ちょ、アンタ……」
「あら、息子が?まぁー女の子と仲が良いなんて初めて聞いたわっ。ねっ、あなた」
「おう、嬉しいな」
やった!山下くんには悪いけど、好感度アップ?
「実を言うと、あたし将来の……」
「父さん母さん、腹減っただろ。たくさん店あるから行ってくれば」
あ~!山下くんに言葉を遮られたおかげで、花嫁宣言出来なかったじゃん!?