「これ貸して。持ってく」
「え?でも重いよ?」
「アンタよりは力あるから」
ひょいっとあたしから機材を取り、階段を上がっていった山下くん。きゅうん、そんな姿見せられたら、胸きゅん止まりません!
「俺に感謝しろよ?」
すると、いつの間にか隣にうっちー先輩の姿があった。
「お前みたいな女子じゃ頼りないから、山下に機材運びを頼んだんだぞ。タイミング良く、お前がヘマしたけどな」
「だって、阿木くんが……!」
「アホ。さっきの冗談だっつの」
な、なにぃ!?
「山下とあの女子が危ないも何も、山下あの女子から離れてたし」
「阿木、冗談でもコイツはバカ正直に信じるんだから気をつけろよ?」
「はーい」
阿木くんにはちょっと怒りがあるけど、山下くんに助けられたことでそんなのどうでも良くなった。
あたしのドキドキ、山下くんに伝わっちゃったかな?聞こえてたら……恥ずかしいっ!
「てことで、滝沢はステージの花飾りに行ってくれ」
「いえ!ぜひ、山下くんと一緒に……」
「ほら、GO!」