「滝沢ーこれどうすんの?」
「これはここでっ」
「こっちはー?」
クラスのみんなも最初はだるいだの、こんなに早くから進める意味ーとか言いたい放題だったけど、文化祭が近づくにつれて準備に力を入れだした。
「みてみてっ!接客用のエプロン!」
クラスの女子が無地のエプロンに、可愛らしくデコられたエプロンをつけてきて、みんなに歓喜が湧いた。
「楽しみだね」
「ダンスも頑張んなきゃ!」
そんなみんなの微笑みを見ながら、微笑ましく思う滝沢沙良、心地よい眠りに入っております。
「起きな」
いえ、寝てなどおりません!夏生の声に慌てて目を覚ました。
「看板作りしてんだけど、ペンが見当たらなくて。どこにあるか分かる?」
「あ!職員室に借りに行ってくるねっ」
「ありがと」
スキップをしながら教室を出たあたし。なぜって?それはね、職員室に行くには、山下くんのクラスの前を通るからなのだ!イコール、山下くんの姿を見ることがで、き、る!
「うふふ~。さ~て、山下くんは寝ずに授業を受けているのかな~?」
期待を込めて、山下くんの教室を覗いた。