うまく丸め込まれた気がするけど、今のあたしは山下くんと同じことを出来るなら、何でも構わない!無敵なのだ!



「よし、決定な。出来たら教えてくれ」



「はいであります!御用は以上で!?」



「あぁ、先生から何もなければ……」



「早急に帰らせていただきます!」



先輩の言葉を聞き終わらないうちに、あたしは教室を飛び出していた。先生ってミスメガネだもん。絶対話が長くなっちゃうに決まってる!



ダッシュで教室に鞄を取りに帰って、靴箱がある玄関へと向かう。山下くんに、バイバイを言ってないんだもん。明日から週末だし、会えないんだもん!



「あっ……帰ってたか~」



しかし、山下くんはもう下校していて、あたしの思いは儚く散った。そりゃ、約束とかしてないし待ってるわけないけどさ。



「まっ!また月曜日から頑張ればいいっか!」



土日もいっぱい山下くんのことを考えちゃうんだろうな。あ!その前にお父さんとお母さんに、テストの結果を見せびらかしてやるんだ!絶対驚くだろうな~。



「うっそ。これ沙良が……!?」



「他の人の持って帰ってきたんじゃないか?」



そして滝沢家では案の定、信じてくれるまで時間がかかったのだった。