木漏れ日があたしに笑いかける。
「泣いてないよ」
「そう、それならいいよ」
夏生はお見通しなんだ。あたしがちょびっと泣いてたこと。否定しても聞き返さないでいてくれるんだね。
「……あのね夏生、葉月ってね、あたしが思っていたよりも山下くんに染み付いてたみたい」
「その表現やめてよ」
「絶対、山下くん……葉月のことが好きなんだよ」
そうじゃなきゃ、体育祭の時みたいに、あんな冷たい態度をとったりしない。困惑しない。怒ったりしない。
好きだから、葉月のことが好きだから。
「でも、山下くんはそう言ってないんでしょ?」
「言ってないけど、でも……」
「それなら、自分の曖昧な憶測より、山下くんの言葉を信じるべきでしょ」
そうだけどさ、さっきの山下くんを見てたら、ラブが関係してるように見えるんだよ。
「う~聞かなければよかったなぁ」
「今更遅いって」
「そうだけどさ……」
こんなに切ない気持ちになるなんて、思いもしなかったんだもん。
今までは恋することが楽しいって思えていたのに、今は……切ないよ。