「なんだそれ」
苦笑する山下くんの声が聞けるだけでも、胸がキュンと高鳴る。山下くんはそのまま歩いて行った。
「……はぁ」
あたしは再び草っぱらに腰をおろした。空を見上げると本当に心地よくて、ゴロンと寝転がった。
「葉月……ねぇ」
思っていたよりも、山下くんの心に住みついてるみたいじゃないか、あの葉月ってのは。
中2の時のトラウマを今もまだ抱えているなんて、山下くんも辛かろうに。だって、そのおかげであたしと恋が出来ないんだよ!?なかなか山下くんとの未来が切り開けないんだよ!?
「あ、ココにいたの?」
そう言って、あたしの顔を覗き込んだのは夏生だった。
「さっき山下くんとすれ違ったけど、スッキリしてる感じだったから、なんとなくアンタを探しに来たけど」
「なんでスッキリしてんの~?」
「もうアンタが山下くんのことを諦めるとか言ったのかと思ったよ」
「そんなに重荷に捉えられてるの!?ていうか、諦めるとか有り得ないよ~」
あ、そう。と隣りにあたしと同じように寝転がった夏生。
「ねぇ、沙良」
「ん?」
「泣いてんの?」