あたしは勢い良く立ち上がった。
「山下くんを好きな者として言うけどね、山下くんは絶対葉月に惚れてたね!」
「は?」
「あたしに嘘はつけないよ~だ!」
よっしゃ!ビシッと言うことができたぞ!
「……はっ、意味不明」
メロンパンを全部食べ終えた山下くんも、気だるそうに立ち上がった。
「意味不明じゃないもん!分かる?愛の力なの!」
「何が愛だ。もういいだろ、帰る」
「ちょっ、待ってよ~!」
慌てて歩き出した山下くんの後を追う。
「山下くんっ、ねぇっ……」
「アンタさ」
「え?なに?」
山下くんが立ち止まった。続いてあたしも足を止めた。
「葉月先輩とのこと聞いて、何とも思わないわけ?」
あたしの方は見ずに、山下くんが尋ねた。
「何言ってんの。あたし……」
ショックだよ。
本当はショックでたまんない。悔しくてたまんない。葉月に腹が立って仕方が無い。
「あたし、一眠りしたくなっちゃった!ほら、ココ気持ちいいじゃん?」
でも、そんな姿を山下くんに見せることは出来ないから、強がってるんだよ。