「山下くん、しょんな過酷なことを……」
「誰も最高得点を取れとか言ってないだろ」
毎回のテストで赤点ギリッギリで、平均以下のあたしなのに~。正直言うと、自分で出した条件もクリア出来るか分かんないのに。
「じゃあ、頑張れるようにもう1つ!平均以上なら、デートしよう!」
「調子にのんな」
そう言って、鞄を手にしてスタスタと帰って行った山下くん。うぅ、冷たいよ~。
「あかん!こんなことしてる場合やない!うちも勉強せな!」
エセ関西弁を使ったことはお気にせずに!そして、あたしはすたこらと家に帰った。
「お母さん!あたし勉強頑張るから!」
「その言葉を何度聞いて、赤点をプレゼントされたと思う?」
「うっ……で、でも!今回は本気!今までないくらいね!」
そのまま自分の部屋へ!
「そんなに大事なテストだったのかしら?」
不思議そうに、お母さんがぼやいていたことも知らずに。
「え~まずは苦手な数学から……いや、現代文の方がやりやすいかも!でも、苦手なのを後回しにしたら……あ~もう、集中出来ない!」
机に向かって30分経過。今まで真面目に勉強したのだって何回かだから、すぐさま取りかかれるはずがなかった。