「……分かったよ」
麦茶を一口飲んで、喉を潤したあたしは、里津くんへ視線を向けた。
「葉月先輩は姉ちゃん達と同い年。他校だったんだけど、紘樹の部活の先輩の彼女で、たまに空手部に顔出しに来てたんだって」
そうだ。山下くんは空手部だったじゃん!
「ストップ。里津はどうやって知り合ったの?」
「可愛い人だったから、軽はずみで話したこともあったし、それとなく知ってた」
「……続けて」
「それでいつだったかな?紘樹の機嫌がものすごく悪い時があったんだ。同じ時期に、葉月先輩が姿を見せなくなって、先輩とも別れたって聞いたよ。俺が知ってるのはこれだけ。詳しくは知らないんだ」
話終えた里津くんは、麦茶を飲み始めた。
「ちょっと待って。そんなことあったの?あたしが3年の時に?」
キョトンのした顔の夏生がそう言った。
「姉ちゃんは周りに興味示さな過ぎな。紘樹が同じ中学ってのも知らないだろ。空手で何度も表彰されてたって」
「家に遊びに来たことは?」
「アイツ部活ばっかで、なかなか遊べなかったから、中学の時は来たことねぇよ」